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ニュースレター

2023年の韓国特許出願動向

2024.05.24

2023年の韓国産業財産権の出願統計が韓国特許庁より発表されており、そのうち特許出願件数を中心に主要な統計を、以下紹介する。これに関連し、韓国企業10社について2023年の日本特許公開件数も一部紹介する。

産業財産権別出願の年間推移

韓国の産業財産権、すなわち特許、実用新案、商標、デザインは2023年の一年間で計556,600件が出願され、全体としては前年比0.03%の微増だった。権利別には、商標、デザイン、実用新案は前年に比べて出願が減少したが、特許は243,310件で前年比2.4%増加した。

 

 

技術分野別特許出願の動向

技術分野別の韓国特許出願件数は、2022年に比べて半導体と二次電池、人工知能(AI)、デジタル通信などの先端/主力産業分野を中心に増加した。

 

 

出願人類型別特許出願の動向

2023年の出願人類型別の韓国特許出願件数は、国内大企業、中小企業* 、大学/公共研究所が2019年以降持続的に増加している一方、外国人、国内個人は2022年に比べて小幅減少した。なお、「その他」は政府、自治体などからの出願である。

*韓国における「大企業」の基準は、資産10兆ウォン以上で公正取引委員会が指定する相互出資制限企業集団に所属する会社である。「中小企業」は資産総額が5,000億ウォン未満であること、および業種別では例えば衣服、紙、1次金属、電気装備、家具などの製造業の場合は平均売上額1,500億ウォン以下などが基準になる。一方、「中堅企業」は、関連法令で中小企業ではなく、かつ公正取引委員会の相互出資制限企業集団には入らない規模の企業を意味する。

 

 

 

韓国企業の特許出願の動向

国内企業の韓国特許出願件数上位20社を見ると、サムスン電子が圧倒的に特許出願が多く、上位20社のうちサムスングループが6社、LGグループが5社が含まれている。2022年と比較すると、半導体および素材、部品メーカーの特許出願が増加した傾向にある。

 

 

 

これに対し、2023年における韓国企業の日本特許出願動向(公開件数基準、独自調査)を参考にすると、上位10社のうちLGグループ5社が入っているのが目を引く。特に、2023年に日本で公開された特許出願件数のうち、2次電池メーカーのLGエネルギーソリューションは1,162件で外国企業の中で最も多く、同社の2023年の韓国特許出願件数(3,746件)と単純比較してみると、約3割超の特許を日本にも集中して出願している点が特徴的である。なお、LGグループの日本国内での動向については、2017年に同グループ5社の日本研究所を統合して「LG Japan Lab株式会社」を設立し、2022年には品川にあった研究所を横浜に移転させ、LG電子、LGディスプレイ、LGイノテック、LG化学、LGエネルギーソリューションの研究所を統合した形で一つの研究所として運営しており、こうした点も参考に値する。

 

外国国籍の韓国特許出願の動向

 

外国国籍の出願人による韓国特許出願の動向については、米国、日本、中国、ドイツ、フランスの順で、上位5カ国による韓国特許出願が外国国籍全体の韓国特許出願のうち約80%を占めている。2023年は、日本とドイツによる韓国特許出願がやや増加した一方、米国と中国は減少に転じており、米国はApple、Google、LAM Researchの影響、中国はHuawei、ZTE、Vivo Mobile、CATLの影響が大きかったと見られる。

 

 

上記の日本国籍出願のうち特許出願件数上位20社を見ると、2022年に比べて出願人ごとの増減率のバラツキが見られており、一部出願件数を増やした企業もある。とりわけ半導体関連の素材・部品・装置分野のメーカーの特許出願がかなりの割合を占めていることが分かる。

 

 

以上のように、上述した2023年の韓国特許出願のキーワードは「半導体」、「AI」、「2次電池」であったといえ、それらの韓国特許出願件数については、世界的な高金利・インフレなどの経済状況であったにもかかわらず、韓国国内の大企業と中小企業のいずれも韓国特許出願件数を増やした点が印象的であったといえる。ただし、2024年に入り、グローバルな流動性の拡大が話題になる昨今の状況では、韓国も出願件数の拡大より特許資産の活用を強化する動きも見られており、今後の推移を見守る必要がある。

 

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