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営業秘密及び産業技術の侵害に対する処罰を強化した量刑基準を施行予定

2024.05.24

韓国の大法院量刑委員会は、2024年3月25日に開かれた第130回全体会議で、知的財産・技術侵害犯罪等に対する修正された量刑基準を最終議決した。新たな量刑基準では、「知的財産犯罪」の量刑基準に「産業技術等の侵害行為」の類型を新設して量刑基準の名称を「知的財産・技術侵害犯罪」に修正し、営業秘密侵害犯罪と技術侵害犯罪に対する量刑基準、執行猶予基準を強化することを骨子としている。新量刑基準は2024年7月1日以降に公訴が提起された事件から適用される予定で、修正された量刑基準の主な内容は次のとおり。

 

1. 営業秘密侵害犯罪に対する勧告量刑範囲の引上げ

 

2024年8月21日に施行予定の「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」(以下、「不正競争防止法」)の改正法では、営業秘密侵害の刑事処罰に関する法定刑の規定を強化する改正がなされたが、今回、大法院量刑委員会も営業秘密保護の強化に対する産業界等の要請を反映し、営業秘密侵害行為の量刑基準を引き上げた。修正内容は下表のとおりで、営業秘密侵害者に対する実質的な処罰水準に相当な影響を及ぼすと予想される。

 

 

2. 産業技術/国家核心技術等の侵害犯罪に対する強化された勧告量刑範囲の提示

 

今回の新基準を通じて、これまで別途の量刑基準が定められていなかった産業技術の流出防止及び保護に関する法律、防衛産業技術保護法、国家先端戦略産業の競争力強化及び保護に関する特別措置法上の産業技術等の侵害行為に対して、下表のとおり、強化された勧告量刑が新たに提示された。新基準によれば、国家核心技術等の国外侵害の場合は、最大18年(1.5倍上限の適用時。以下同)まで言い渡すことができるように勧告しており、また、従来は営業秘密侵害行為に対する量刑基準の適用を受けることで最大9年として勧告されていた産業技術等の国外侵害については最大15年に勧告量刑が引き上げられている。これらの新たな勧告量刑は、旧基準での既存の量刑事例や類似犯罪群の量刑基準に比べても相当の引き上げ幅であるという点に注目すべきで、この修正は、国内企業の存立基盤を危うくし国家経済安保を害する国外侵害行為を特に重く処罰するという意図が反映されたものと理解される。

 

 

3. 執行猶予基準の強化

 

営業秘密及び技術侵害犯罪において「刑事処罰の前歴なし」を執行猶予の主な参酌事由から除外するとともに、技術侵害犯罪において「産業技術等の侵害の場合」を執行猶予の主な否定的参酌事由として設定した。こうした執行猶予基準の強化により、営業秘密及び技術侵害犯罪において侵害者が初犯でも実刑が言い渡される可能性が高まったといえ、今後の侵害行為に対する強い抑制力として働くものと予想される。ただし、「未必の故意で犯行を犯した場合」については、知的財産犯罪の侵害判断は困難という特性等を考慮して軽減又は執行猶予を言い渡すことができるようにした。

 

以上により、今回の修正量刑基準が適用されれば、営業秘密及び産業技術侵害行為に対する刑事処罰が実質的に強化されて技術流出犯罪に対し警鐘を鳴らす契機となる一方、権利者等の実質的な権利保護にも肯定的な影響を及ぼすものと考えられる。

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