韓国特許庁は新たな特許法施行規則を公布し、同施行規則は2024年11月1日から施行されている。その主な内容を紹介すると、次のとおりである。
1. 発明者の追加または訂正手続がさらに厳格に
現行の施行規則によると、特許権が設定登録されるまでは特別な証憑書類なしでも発明者を自由に追加または訂正することができる。その結果、出願人は発明能力がない者を発明者として任意に追加したり真の発明者を意図的に外したりするケースが生じていた。
新たな施行規則の下では、特許権が設定登録される前であっても別途の証憑書類(特許出願人と追加または訂正される発明者とが署名した確認書類)を提出しない限り発明者の追加または訂正を行うことができなくなる。ただし、特許出願書(※日本での「願書」に相当)に記載した発明者の記載が誤記であることが明白な場合には当該証憑書類は要求されず、また、発明者の死亡などで署名または捺印が不可能な特別な事由がある場合には、その理由を確認書類に記載して署名または捺印を省略することができるという例外が認められる。加えて、新たな施行規則の下では、特許決定後設定登録されるまでの期間において、発明者の追加および発明者の同一性が維持されない発明者の訂正は許容されない点も参考にする必要がある。
韓国特許庁は、新たな施行規則の規定により、無分別な発明者の訂正を防止し、より正確な発明者情報を確保できるものと期待している。これにより発明者の追加または訂正手続が従来より厳格になったことから、特許出願時に正確な発明者記載のための努力が求められる。
2.発明者の国籍及び居住国の出願書への記載が義務化
現行の施行規則によると、発明者が外国人の場合、その発明者の国籍については記載を望む場合に限り特許出願書に記載されるものとして規定されている。しかし、新たな施行規則の下では、発明者が外国人の場合でも、当該発明者の国籍が居住国と共に必ず特許出願書に記載されなければならない。
この改正の趣旨について韓国特許庁は、韓国の特許法上、発明者が特許を受ける権利を原始的に有するという点において発明者を正確に特定する必要があるとともに、発明者の国籍および居住国は、国家核心技術等の共同技術開発協力が求められる技術分野を把握し中核人材の海外流出を予防するために活用できる情報であることを勘案したものとしている。
以上により、今後、韓国での特許出願の際には、発明者の国籍および居住国に関する情報を事前に確保しておく必要がある。