韓国で2024年11月1日に施行された特許法施行規則により、特許出願書に発明者の国籍及び居住国の記載が義務化されている。これにより出願人にとって実務上の影響が及び得る点につき、以下のとおりご案内する。
韓国特許庁、特許法施行規則改正で発明者情報に関する手続を強化
(2024.11.11弊所ニュースレター)
1. 発明者の国籍に誤記があった場合の不利益等はあるか。
特許出願書における発明者の国籍及び居住国の記載は、発明者を正確に特定するための情報として用いられるものであって、記載に誤りがあったしても出願人に不利益や罰則は課されない。また、基礎出願時の国籍及び居住国を記載すれば足りる。
2. 発明者の国籍に誤記があった場合に訂正ができるか。
特許出願時に国籍を誤って記載した場合に補正命令は出されないが、書誌事項補正書により国籍の訂正ができる。国籍証明書等の証明書類の提出は要求されない。
ただし特許決定後設定登録されるまでは、誤記であることが明らかで、かつ発明者の同一性が維持される範囲内でのみ制限的に国籍の訂正が許容される。
3. 発明者の国籍等が公開公報や特許公報で開示されるか。
公開公報や特許公報に国籍及び居住国の欄は新設されず、これらの情報は開示されない。なお、発明者の住所(法人等の住所を記載可)については従来どおり開示される。
4. 発明者の住所、国籍、居住地について個人情報保護の観点から開示を拒めるか。
内国人の場合は発明者の住所について「部分住所制度」により番地等の詳細部分の開示を省略できるが、外国人の場合はこうした制度の利用はできない。