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特許侵害品以外の付随品の販売及び付随用役の提供による付随的損害を特許権侵害による損害と判断した初の事例

2025.08.14

特許法院は、特許品と独立的に存在して取引される物品で特許品の販売に伴う若しくは派生する付随的商品(以下、「付随品」とする)がある場合や、特許品の施工等のように、特許品の販売に伴ってその後に提供される有償の用役がある場合(以下、「付随用役」とする)、特許侵害品とは別に付随品の販売及び付随用役の提供による特許権者の利益喪失(以下、「付随的損害」とする)を特許権侵害による損害として認めることができると判断した(特許法院2025.3.13.言渡し2022ナ2206判決)。

 

事実関係

 

原告(特許権者)は、ケーブルに比べ大量の電気エネルギーを供給できる配電手段の「バスダクト」及びバスダクト連結用「ジョイントキット」を製造・販売及び施工する会社であり、バスダクト連結用ジョイントキットに関する特許権を有している。被告もジョイントキット及びバスダクト等の生産及び設置する会社である。

一審(ソウル中央地方法院2022.9.23.言渡し2019ガ合556411判決)では、被告のジョイントキット製品が原告のジョイントキット特許を侵害するとともに、損害賠償の責任の範囲を定めるのにおいてジョイントキットの売上額に加えてバスダクトの売上額、ジョイントキット及びバスダクトを設置した工事代金も損害額算定の基礎となる売上額に含まれると判断して一部認容及び一部棄却判決をした。これに対して原告と被告は、それぞれ一審判決のうち敗訴部分の取消しを請求するために特許法院に控訴した。

特許法院は、特許品(ジョイントキット)の販売に伴う若しくは派生する付随的商品(バスダクト)や、特許品の販売に伴って提供される付随用役(バスダクトの施工用役)がある場合に、かかる付随品の販売及び付随用役の提供による特許権者の利益喪失を特許権侵害による損害と認められるかに関し、以下のとおり判断した。

 

特許法院の判断

 

・付随的損害の認定
特許権侵害により権利者が被った実質的損害を賠償する一方で特許権侵害による損害の不当な拡張を防ぐためには、付随的損害を常に特許侵害による損害と断定することはできず、これを適切な要件により制限する必要がある。特許製品と一緒に販売され又は施工された場合であっても、それが単に同じ販売者から購入又は施工することが便利であるとか事後修理に役に立つ等、取引上の便宜と販売者の経営戦略に過ぎないのであれば、販売と施工が同じ主体によって成されたという単純な事実だけをもって付随的損害を認めることは困難である。付随的損害の認定は、特許製品の機能を発揮又は特許発明の目的を達成するために必要な物品として、あたかも「一つの製品を構成する幾つもの部品」のように特許品と一緒に販売される付随品や、特許製品の機能発揮及び目的達成のために特許製品の販売者によって設置、施工等が必ず行われなければならない場合に限定すべきものであり、関連市場の占有率、競合企業等の現況、代替品の存在の有無、取引形態等に照らして特許侵害がなかったのであれば特許権者による付随品の販売や付随的用役がなされたであろうことが合理的に予想可能な場合でなければならない。

証拠に基づき弁論全体の趣旨を総合して認められる各事実と事情を参酌すると、ジョイントキットとバスダクトは建築物等に安全に電力を供給する目的で事実上セットとして成り立つ一つの製品のように扱われて販売者により施工され、同じ業界で競争関係にある原告と被告が共に同じ方式で販売及び施工してきた点で、被告の特許侵害がなかったとすれば原告がバスダクトの販売及び施工用役により利益を得ることができたことが合理的に十分に予想される。したがって、バスダクトの販売及び施工用役による原告の損害は、被告の各特許権侵害行為と相当因果関係が認められる。

 

・損害算定の根拠

1)主位的主張(改正前特許法第128条第2、3項 適用)に対する判断:損害不認定
改正前特許法第128条第2、3項の規定は、損害賠償額の算定が困難であることを勘案し権利者が販売することができた数量に代えて侵害者の販売数量に基づいて逸失利益損害の算定を可能にする特則で、法文のとおり「侵害の行為を組成した物」を侵害者が譲渡した場合に適用することが妥当である。その物を「特許実施製品」に限定して解釈しない場合でも、上記規定に基づいて損害額算定の対象になる物は「侵害製品」と代替の可能性がある製品に限定される。したがって、特許侵害品やその代替品には該当しない付随品を対象として、その文言上の制約がない改正前特許法第128条の他の項や民事上の不法行為等の規定を適用して損害を算定することは問題視されないとしても、改正前特許法第128条第2、3項を適用して損害を算定することはできない。

さらに本件鑑定の結果、鑑定人に対する事実照会の回答によると、「被告製品(ジョイントキット)とバスダクト」を一緒に販売して得た売上額のみが確認されるだけで、被告製品のみの売上額を別途に整理した会計資料や被告の全体売上額のうち被告製品が占める割合が把握できる資料もない点に鑑みると、付随品を除いた被告製品に対して改正前特許法第128条第2、3項を適用して損害を算定することも相当の困難を伴う。

2)予備的主張(改正前特許法第128条第4項 適用)に対する判断:損害認定
改正前特許法第128条第4項は、特許権者が故意又は過失によって特許権を侵害した者に対しその侵害によって自身が受けた損害の賠償を請求する場合、特許権を侵害した者がその侵害行為によって得た利益額を特許権者が受けた損害額として推定すると規定し、「侵害者がその侵害行為で得た利益額」は侵害製品の総販売収益から侵害製品の製造・販売のために追加で投入された費用(変動費)を控除した限界利益として算定できると解される。改正前特許法第128条第2項の「侵害の行為を組成した物」とは異なり第4項では、「侵害者が侵害行為によって得た利益額」を特許権者が受けた損害額として推定する点において、侵害行為それ自体で得た利益だけでなく侵害行為と相当な因果関係がある利益額まで含むものと解し得る

被告製品(ジョイントキット)だけでなく付随品(バスダクト)の販売及び施工用役により被告が得た利益は、被告製品と付随品の関係に照らして侵害行為と相当な因果関係があるため特許侵害品(被告製品)だけでなく付随品の販売及び付随用役(すなわちバスダクトの販売及び施工用役)により原告が被る損害は改正前特許法第128条第4項により算定するのが妥当である。したがって、本件では改正前特許法第128条第4項により被告製品及び付随品によって被告が得た利益を原告が被告の特許侵害で被った損害として推定される。

 

コメント

 

本件判決は、特許侵害品と一緒に販売又は提供された付随品と付随用役に対して損害賠償を認めた韓国で最初の判決である。

通常、特許侵害訴訟における損害額の算定は、特許侵害による損害額が過多に算定されるのを防ぐために、特許発明が侵害製品の一部にのみ適用されている場合には当該侵害製品に対する寄与率を加味して損害賠償額を抑えて算定している。一方、本件事案のように特許発明が適用された侵害製品の販売に伴う付随品の販売や付随用役がある場合には、それらにより発生する付随的損害が特許侵害と相当な因果関係にあるのであれば、特許権の損害が不当に過小評価されないように損害賠償額の算定に反映される必要性も生じる。

本件判決は、特許品の販売に伴う若しくは派生する付随品や、特許品の販売に伴ってその後に提供される付随用役によって発生する損害賠償を認定するとともに、その認定のための具体的な判断基準を明確に提示し、その損害額の算定に特許法第128条第4項に基づく損害額推定の規定を用いたものであって、その判決の意味は、付随品及び付随用役が特許発明と密接に関連して一緒に用いられている業界の現実を反映したという点にあると評価できる。ただし、今後の類似の訴訟において、本件判決で示された判断基準等がどのように適用されるのか注意深く見守る必要がある。

 

 


1 改正前特許法第128条 
②第1項により損害賠償を請求する場合、その権利を侵害した者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その物の譲渡数量に、特許権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じた金額を特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。   
③第2項により損害額を算定する場合、損害の額は、特許権者又は専用実施権者が生産することができた物の数量から実際に販売した物の数量を差し引いた数量に単位数量当たりの利益の額を乗じた金額を限度とする。ただし、特許権者又は専用実施権者が侵害の行為以外の事由により販売することができなかった事情があるときは、その侵害の行為以外の事由により販売することができなかった数量に応じた金額を差し引かなければならない。

 

2 改正前特許法第128条 
④第1項により損害賠償を請求する場合、特許権又は専用実施権を侵害した者がその侵害の行為により得た利益の額を特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。

 

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