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ニュースレター

ゲーム物の著作権侵害を認めた初の大法院判決

2019.11.12

大法院は、原告King.com Limitedのゲーム「ファームヒーローサガ(Farm Heroes Saga)」(以下「原告のゲーム」)の著作権が被告株式会社アボカドエンターテインメントのゲーム「森マニア」(以下「被告のゲーム」)によって侵害されたのか否か等の点が問題となった事件(以下「本件」)において、原告・被告の両ゲームの間に実質的な類似性が認められるという趣旨の判決を言い渡した。(大法院2019.6.27.言渡し2017ダ212095判決)

 

事実関係

原告のゲームと被告のゲームは、モバイルゲームを構成するキャラクターの形状と画面の細かいデザイン等の面においては違いがあったが、ゲームに適用される様々な規則の内容とその配列及び組み合わせの面では類似性があり、この点について著作権侵害の有無が問題となった。

[図:原告のゲームと被告のゲームの比較]

* 出所:原告・被告のホームページ、ゲームの画面、第一審及び控訴審の判決文

これまで法院は、ゲームの規則そのものは著作権法が保護しないアイディアの領域に属し、ゲームの規則の選択、配列及び組み合わせが著作権として保護されるためには、無限にある多数の表現の形態のうち著作者の個性を表わすものでなければならず、限定された画面、ゲームの容量と互換性などコンピュータ/モバイルゲームが持つ限界によって表現が制限される場合には、特定の規則がゲームに内在していても、作成者の個性のある表現とみることは難しいという趣旨で判断した。これにより、法院は、ゲームの規則をゲームの間の類似性の判断において考慮しなかったり、考慮するとしてもその選択、配列及び組み合わせの創作性を厳格にみていた。

本件の第一審及び第二審の法院も原告のゲームの特徴的な規則は「アイディア」に過ぎず、マッチ3ゲームというゲーム方式、モバイルゲームの物理的な限界等に照らして、上記規則の組み合わせそのものだけではゲーム開発者の個性を表わす「表現」とはいえないと判断した。このような前提の下に本件の第一審及び第二審の法院は原告のゲームと被告のゲームの具体的な表現に該当する画面の構成及びデザインのみを中心として比較し、両者の実質的な類似性を否定した。

 

大法院の判断

本件で大法院は、ゲーム物の創作性を判断するにあたり、ゲーム物を構成する構成要素それぞれの創作性を認めるかどうかとは別に、構成要素の選択・配列・組み合わせによりそのゲーム物そのものが他のゲーム物と区別される創作的な個性を持ち、著作物として保護を受ける程度に至っているのかという点も考慮しなければならないと明らかにした。大法院は、原告のゲームに適用されたゲームの規則もそのような創作的な個性を与える主な要素とみて、さらにゲームの規則とゲームのモード、戦闘レベル、個別的な視覚効果など構成要素の選択と配列及び有機的な組み合わせによる原告のゲームの創作的な表現が被告のゲームにもそのまま含まれているとみた。

 

コメント

今回の大法院判決は、ゲームの著作権を認めるための創作的な個性の有無及びそれに基づく類似性の判断の際に、ゲームの規則を主な考慮要素とみて著作権の侵害を認めた初の判決である。今後、ゲームの著作権に関連する紛争はもちろん、ゲームの開発段階でもゲームの規則に関する検討を綿密に行う必要があると思われる。

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