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ニュースレター

韓国著作権法改正の動向

2020.08.10

最近、VR(仮想現実)・AR(増強現実)技術関連機器の利用が活発になっているなか、韓国ではこれと関連した著作権侵害に関する免責条項が2020年5月27日施行改正著作権法に導入され、著作権信託管理団体に対する管理・監督を強化する内容なども盛り込まれた。一方、2020年8月5日に施行された改正著作権法では、韓国著作権委員会による調停における「職権調停決定」に関する規定を新設した。それぞれの詳細は以下のとおり。

 

・写真撮影、録音、録画過程で付随的に含まれた著作物に対する侵害責任免除

2020年5月27日施行改正著作権法第35条の3(付随的複製など)は、写真撮影、録音または録画(「撮影など」)をする過程で見え、または聞こえる著作物が撮影などの主な対象に付随的に含まれる場合には、これを複製・配布・公演・展示または公衆送信することができると規定した。ただしそのような利用が著作財産権者の利益を不当に害する場合には免責されないという但し書きを設けた。

本改正法の立法資料によると、上記条項を導入した背景はVR・AR技術の発展に伴い関連機器の利用が活発になっているなかで、それらの機器の活用過程で付随的に他人の著作物が含まれた場合、これに対する著作権侵害責任を免除し、関連産業発展の基盤を整えるためであるとのことである。

上記改正条項により、VR・AR技術が適用された機器を通した撮影などの結果に付随的に他人の著作物が含まれても、そのような著作物に関する著作財産権の行使が制限されることにより、撮影などの行為者が意図せずして著作権侵害責任を負うことを有効に防止できるようになるものとみられる。さらに、上記改正条項の文言上、撮影などが必ずVR・AR機器によって行われなければならないとは限定されていないため、上記改正条項は一般的な写真撮影、録音、録画にも適用されることができると思われる。一方、上記改正条項が免責のために要求する「付随的に含まれる場合」及び「著作財産権者の利益を不当に害しないこと」という要件に関しては具体的な基準が提示されていないため、今後具体的な事案に関する判例を通して確立される必要があるとみられる。

 

・著作権信託管理団体に対する管理・監督強化など

韓国では最近、一部の著作権信託管理団体が、上層部役員の背任問題により家宅捜索の対象になった事例や、ずさんな運営と不公正な収益分配問題により補償金受領団体の指定取消し処分を受けた事例があった。このような問題を受け2020年5月27日施行改正著作権法では、著作権信託管理団体に対する管理監督強化のために著作物などの目録と利用契約締結に必要な情報の公開を義務づけ、文化体育観光部に調査権および懲戒要求権を付与する根拠を規定した。これと共に、当該改正法には公共文化施設が非営利、公益目的で著作財産権者不明著作物を利用することができる規定が新設され、それと関連し韓国著作権委員会を通した補償金支給手続きを規定するなどの改正事項も盛り込まれた。

 

・韓国著作権委員会による調停における「職権調停決定」関連規定新設

2020年8月5日に施行された改正著作権法第117条(調停の成立)では、紛争の調停と関連して3人以上の委員で構成された調停部は①調停部が提示した調停案をどちらか一方の当事者が合理的な理由なく拒否した場合、または②紛争調停予定価額が1千万ウォン未満の場合に、当事者の利益またはその他のあらゆる事情を考慮して、申立ての趣旨に反しない限度で職権により調停に代える決定(「職権調停決定」)をすることができるという規定を新設した。当該改正法によると、職権調停決定に従わない者は決定書正本の送達を受けた日から2週間以内に不服理由を具体的に明らかにして書面で調停部に異議を申し立てることができ、異議の申し立てがある場合、その決定は効力を喪失するものの、異議の申し立てがない場合には職権調停決定は裁判上の和解と同様の効力があると明示している。
 

キーワード

#韓国 #著作権法

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