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使用期間未設定の芸能人広告写真の使用期間を制限した大法院判決

2021.11.12

韓国大法院は、広告撮影契約(以下「広告契約」)に基づくモデル肖像権使用期間と関連して有意味な判決を言渡した(大法院2021年7月21日言渡し2021ダ219116判決)。

 

これはオンラインアクセサリー販売業者である被告と広告モデルである原告との間で締結された広告撮影契約により、原告が一定の対価を受けてアクセサリーを着用して本人であることが識別される上半身写真を撮影したが、当該写真の使用期間を定めていなかったために争いが発生し、肖像権侵害差止および妨害予防請求をした事案(以下「本件」)である。

原審は、原告が被告に本件写真に撮影された商品を販売する間であれば期間の制限なしに本件写真を商業的に使用することを許容したと認め肖像権侵害を否定したものの、大法院は使用期間を制限しなければならないという趣旨で二審判決を破棄し、事件をソウル高等法院に差し戻した。

 

大法院はこれと関連し、肖像権は憲法的に保障されている権利として、写真撮影に関する同意をしたとしても、同意するに至った動機および経緯、授受された給付が均衡を維持しているかどうか、写真撮影当時、当該公表方法が予想可能であったか、およびそのような公表方法が分かっていたとすれば当事者が同意当時に異なる内容の約定をしたはずであると予想されるかどうかなどの様々な事情を考慮してみるとき、被撮影者が社会一般の常識と取引の通念上許容したとみられる範囲を超えてこれを公表しようとする場合には、それに関しても被撮影者の同意を得なければならないとして、その同意を得たという点や被撮影者が許容した範囲内の公表であるという点に関する証明責任はその撮影者または公表者にあると判示した。

また大法院は、契約において文言の客観的な意味が明確に表れていない状況で、一方の当事者が主張する約定の内容が相手側に権利を放棄することと同じ重大な不利益を賦課する場合には、その約定の意味を厳格に解釈しなければならないとした。

 

以上のような法理を根拠に大法院は、広告契約上、原告が本件写真を被告が販売する商品を広告する目的のために商業的に使用することには同意したと認められるものの、①期間の制限なしに被告に本件写真の使用権を付与する内容と解釈することは、本件写真の広範囲な流布の可能性に照らして原告の肖像権を事実上剥奪し原告に重大な不利益を賦課するケースに該当するため、その使用期間に対する明示的約定ないしそれに準ずる事情の証明があってこそこれを認めることができるという点、②広告契約は肖像権が原告にあることを明らかに確認しているため、原告が契約当時、被告が本件写真を期間の制限なしに使用する可能性があるという点を予想できたとも断定し難いという点、③原告が一定の対価を受けたという点を考慮しても、原告が撮影に応じることになった動機および経緯、原告が撮影した写真の公表範囲と使用目的および原告の識別程度、本件写真が期間の制限なしに無制限に使用されるという事情が分かっていたならば原告が異なる内容の約定をしたと予想されるかどうか、該当商品類型の一般的な販売寿命期間(写真モデル交代期間)に関する取引慣行などの事情までを総合してみると、本件写真の使用期間は上記の各事情を反映して取引上相当の範囲内に限定されると認めるのが合理的であると判断した。

 

以上のように肖像権者が広告契約に基づき特定人であることを識別できる写真を撮影した場合、写真の使用に対して同意をしたとしても、明白な合意が存在しない限り、その写真の使用期間は契約締結動機および当該公表方法の予想可能性などの諸般の事情を反映して取引上相当の範囲内に限定されると認めた本件大法院判決は、今後肖像権使用許諾の期間と範囲が問題となる事案において非常に有意味な先例になると考えられ、参考にする必要があると思われる。

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