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ニュースレター

韓国特許庁、「紛争事件調停委員会連係制度」を法院に拡張

2023.02.16

韓国特許庁は、昨年12月、ソウル中央地方法院との間で「法院連係型調停」を実施することを主な内容とする業務協約を締結した。法院連係型調停とは、法院の本案裁判部が弁論期日前または本格的な裁判開始前に事件を紛争解決機関に調停回付する場合に外部の専門家が主導して調停を遂行する制度である。ソウル中央地方法院は、最も多くの知的財産事件を受理・処理している地方法院で、今回の業務協約を契機として迅速かつ満足度の高い結果が得られるものと期待する。

 

これに先んじて韓国特許審判院は、2021年11月から、審判長が審判事件を合理的に解決するために必要であると認められる場合に当事者の同意を得て当該審判事件の手続きを中止し、決定により当該事件を産業財産権紛争調停委員会(韓国特許庁により設立。以下「調停委員会」) に回付できるようにする制度を施行済みである(特許法第164条の2新設)。このとき調停委員会の調停手続きが調停不成立で終了した場合は同条第1項による中止決定を取り消して審判を再開し、調停が成立した場合には当該審判請求は取り下げされたものとみなされる。

 

今回の法院連係型調停もこれに類似したもので、法院が事件の分類段階において、その事件の特性および当事者を考慮して知的財産権に関する専門性が必要となる事件について調停委員会との連係の有無を決定し、紛争当事者間の提出資料および事件記録を調停委員会に送付し、調停委員会の調停結果が出た後、合意の成否に従って「裁判上の和解」の決定または法院手続きを続行するものと見られる。

 

韓国特許庁が韓国国会に提出した資料によると、調停委員会における申請事件は毎年増加しており、韓国特許庁の「審判連係型調停」と「法院連係型調停」は、いずれも、こうした調停委員会の運営状況に合わせて効率的な紛争解決を試みようとするものであると思われる。

 

年度別(’19~’22.8)産業財産権紛争調停委員会の運営状況

 

韓国特許審判院は、2022年の特許審判院紛争事件のうち調停委員会に関連した事件が5件があり、5件全てで調停が成立した旨を明らかにしている。

 

韓国での調停申請件および調停成立率が増加している昨今の傾向に鑑みると、迅速かつ経済的な紛争解決のために、事件の当事者は調停委員会の連係も十分に検討してみる必要がある。
 

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