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ニュースレター

美術品に関する追及権認定

2023.08.25

最近、美術品の再販売補償請求権導入を主な骨子とする「美術振興法」制定案(以下「本法案」)が2023年6月30日に国会本会議を通過した。文化体育観光部はK-アートが多くの注目を集めるようになった今、これまで体系的な個別法がなかった芸術の主な分野の中の一つの美術分野で個別法が立法されたということにその制定の意味があるとしている。本法案の主な改正内容である再販売補償請求権の内容は次の通り。

 

1.本法案の主な内容(再販売補償請求権を中心に)

美術品は複製が容易な音盤、図書、映像物とは異なり、実物中心に取り引きされるものであるため、作家の最初の販売をした後は、作家がいくら有名になったとしても作品の価値上昇分はほぼ所蔵者と販売者に戻る構造だった。本法案により導入された美術品に対する再販売補償請求権(いわゆる「追及権」、Resale Right)とは美術品が作家から最初に販売された後で再販売された時に該当美術品を創作した作家が再販売金額の一部を補償を受けられるようにする権利である。

本法案により、作家は大統領令で定める美術品の所有権が作家から最初に移転された後に画廊業、美術品競売業、美術品諮問業または、美術品レンタル・販売業をする者が売り手、買い手または、仲介人として介入して該当美術品が再販売された場合、該当売り手に補償金を請求する権利を有することになる(法第24条、美術品再販売に対する作家補償金)。この時の「美術品」とは作家が美術活動を通して算出した有無形の創作物として定義されており、補償金の料率は大統領令で定めると規定され、文化体育観光部はこれを定める過程で作家および業界の意見を取りまとめる予定であると明らかにしている。

再販売補償請求権は、(i)美術品の再売り値が500万ウォン未満や、(ii)著作権法第9条にともなう業務上著作物に該当する美術品が再販売された場合、または、(iii)売り手が原作者である作家から直接取得した後、3年以内に再販売した場合、美術品の再売り値が2千万ウォン未満の場合には認められず、作家が生存している間および死亡した後30年間存続する。

なお、美術品再販売に対する補償金の徴収および分配は文化体育観光部長官が指定した美術振興専門担当機関または、再販売補償請求権を有する者で構成された非営利団体を通して行われ、その機関または、団体が再販売補償請求権に関する裁判上または、裁判以外の行為をする権限を有することになる(法第25条、美術品再販売に対する作家補償金の徴収および分配)。

 

2.今後の流れ

本会議を通過した法案はその後公布され、付則で定めた猶予期間を経て施行される。本案を基準に再販売補償請求権関連規定は公布後4年が経過した日から施行される予定である。

本法案上の「美術品」に対する定義が広いため、デジタルアート、メタバースおよびNFTアートワークなど多様な形態の創作物が出てきている現在、その適用範囲がどこまでになるのか注目する必要がある。また、再販売補償金徴収および分配を文化体育観光部長官が指定した美術振興専門担当機関または、団体が担うことになることにより、こちらも様々な様相で業界内の意見が飛び交うものと見られる。

今後、本法案に関連した社会および業界などの様子を見守りつつ、美術品に関連した契約段階から綿密に法律的な検討を行い、実際の権利主張または、係争に備え、その予防に注意を払う必要がある。

 

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