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最近の韓国特許庁における特許審査処理制度を巡る変化

2024.05.24

最近、韓国特許庁は、特許出願に対して優先審査の対象から一部の事由を除外し、「予備審査」申請制度を廃止する一方で、特定技術分野に属する特許出願を優先審査の対象として新たに指定するとともに、審査処理期間の短縮に対応するために特定技術分野の審査官を特別採用するなど、審査処理に関連する制度を変更している。

これに関連し、特許出願と実用新案登録出願における優先審査の対象を整備する「特許法施行令」および「実用新案法施行令」の改正が2024年1月1日に施行された。これにより「特許法施行令」第9条の改正では、従来の優先審査の対象のうち専門機関に先行技術調査を依頼した出願*を優先審査対象から除外した。改正の理由は、国家主要技術の領域にマンパワーを集中させるために、不要不急の優先審査については対象から除外したものと韓国特許庁は説明している。
*その他、優先審査の対象から65歳以上の高齢者の出願、余命宣告された患者の出願も除外された。

 

続く2024年3月1日より、韓国特許庁は「予備審査」申請制度を廃止した。「予備審査」は、優先審査申請等がされた特許出願に対して早期に特許登録を受けられる制度として活用されており、審査官による公式的な審査を行う前に出願人が審査官との面談により審査意見を交換する協議をし、出願人に事前審査結果を提供する制度であった。

これに対して、近年、韓国特許庁は特定技術分野について優先審査の対象を新たに追加しており、2018年、人工知能またはモノのインターネットなど第4次産業革命に関連した技術を活用した特許出願を優先審査対象に指定し、2022年からは国家先端技術に関連した特許出願分野についても優先審査の対象として拡大指定し運用している。加えて、2022年には半導体分野、2023年にはディスプレイ分野の特許出願を優先審査の対象として指定するとともに、2024年2月19日からは二次電池分野の特許出願にも優先審査の対象を拡大してしている。

 

こうした新たな施策により韓国特許庁は、第4次産業革命に関連する技術および先端技術関連の特許出願に対して優先審査による審査処理期間の短縮に努める一方で、これら関連技術の特許出願が急増し特許審査官の不足で出願処理が遅延することを防止するため、2023年に半導体分野専門審査官67人を特別採用し、続く2024年も二次電池分野専門任期制特許審査官38人を追加採用すると明らかにした。

その他、韓国特許審判院も、先端技術分野の特許紛争の迅速かつ正確な審判を行うため、2023年に半導体・モビリティ分野の専担審判部を設けたことに続き、2024年3月には二次電池、同年5月には次世代通信分野までこれを拡大すると発表した。

 

以上のような優先審査などによる審査迅速化の動きや、半導体・ディスプレイ・二次電池などの先端技術に対する審査・審判体制の拡充は、今後も続くものと思われ、その動向を注視する必要がある。

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