外国法人が海外プラットフォーム及び海外サーバーを基盤として製品を広告した行為について、韓国法院の管轄権が認められ、当該行為が国内の需要者を対象として行われた場合は韓国特許法上の「譲渡の申し出」に該当すると判断した(特許法院 2025.4.22.言渡し2023ナ10693)。
事実関係
原告はイタリア法人で、靴下編み機に関する韓国特許権を保有する権利者であり、被告は中国法人で、中国の電子商取引プラットフォーム「アリババ」及び中国国内にサーバーを置く自社ホームページで、製品を広告・販売している中国法人である。原告は、被告が海外サーバーを基盤としたオンラインプラットフォームに特許侵害製品を掲載し広告した行為は、国内特許権に対する「譲渡の申し出」に該当すると主張し、侵害差止め及び損害賠償を請求した。
特許法院の判断

① 国際裁判管轄及び準拠法
特許法院は、国際私法第39条に基づき、韓国国内で特許権侵害の結果が生じるおそれがある場合、韓国の法院に管轄権が認められると判断した。原告の請求原因は国内で登録された特許権の侵害にあり、被告が国内の消費者を対象に広告活動を行ったかどうかが主要な審理対象であるため、韓国について本件との実質的な関連性が認められるという趣旨である。準拠法についても、知的財産権の保護は侵害防止法に従うという原則に基づき、韓国の法律を適用した。
② 「譲渡の申し出」に関する具体的判断
法院は、実際に製品が韓国国内で譲渡されたという証拠は不十分であるものの、被告がオンラインプラットフォームに製品情報を掲載した行為は、以下の事情を考慮すると韓国国内における「譲渡の申し出」に該当すると判断した。
まず、被告はウェブサイト上で韓国語の詳細な商品情報を提供し、注文過程で配送先として韓国を直接選択できるシステムを備えていた。また、韓国ウォン(KRW)決済オプションを提供し、国内消費者向けに別途問い合わせ・相談窓口を設けるなど、国内市場を狙った営業活動を行った。

すなわち、法院はこうした被告の行為について、単に全世界からアクセス可能であるという事実を超えて、韓国国内の消費者を直接的な対象とした販売誘導行為と認めることができ、特許法上の実施行為である「譲渡の申し出」に該当すると判断した。
コメント
本判決は、たとえ海外サーバーや海外プラットフォームを基盤とする商取引であるとしても、実質的な韓国国内の営業活動を伴う場合、韓国特許法上の「譲渡の申し出」として認められ得ることを明確にした初めての判決であり、重要な意味を有すると評価できる。
本件に比較できる判決として、日本の最高裁判所のドワンゴ(Dwango v. FC2)判決は、サーバーが海外にあってもユーザー端末が国内に存在し、サービスの核心的効果が国内で発生している場合、国境を跨ぐシステムであっても国内での「生産」や「提供」と認められるという技術的・機能的観点の域外適用を扱ったものであったといえる。これに対し、本判決は、eコマース環境において決済、配送、言語などの指標を通じて営業活動が国内の需要者を直接的な対象としているかどうかを基準にしたという特徴がある
これらの判決の結論として、両判例は物理的サーバーの位置という形式的要件よりも、その行為が及ぼす実質的な影響力や市場の境界を重視する法理を重視したものだといえる。このような海外サーバーを通じて提供されるサービスにはさまざまな態様があるが、海外プラットフォームや海外サーバーを通じた侵害行為への対応においては、単なる海外への情報の所在という観点にとどまらず、実際の対象国の市場向けの意図的な営業活動が存在することを具体的に立証することが、訴訟戦略上の重要な争点になり得ることを本判決は示している。




